渡辺美津代 ウォータレスリトグラフ実演ワークショップ

ウォータレスリトグラフ実演ワークショップ

沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)で開催された「渡辺美津代版画展-それでも地球は回る-」の会期中に、特別イベントとしてウォータレスリトグラフの実演ワークショップが行われました。このワークショップでは、参加者が渡辺さんの技術を間近で学ぶことができました。



ワークショップの概要
ワークショップでは、渡辺美津代さんが自身の作品制作のプロセスを詳しく解説しながら、ウォータレスリトグラフの技法を実演しました。参加者は、渡辺さんの手元を間近で見ながら、素材の選び方や技法の使い方を学びました。

ウォータレスリトグラフとは?
ウォータレスリトグラフは、従来のリトグラフ技法を改良したもので、水を使わずに版画を制作する方法です。この技法は、1990年にカナダのニック・セメノフによって版画技法として実用化されました。リトグラフは水と油の反発を利用して描画部分にインクを付着させるのに対し、ウォータレスリトグラフではシリコンを用いて描画部分を親油性にし、非描画部分を親水性にすることでインクを定着させます。これにより、湿し水を使わずに鮮やかな色彩を保つことができ、制作プロセスがシンプルで安全になります。

渡辺さんはインタビューで、「版画は環境に恵まれてないと続けることができない難しさがある。一方で、ウォータレスリトグラフは、自宅で準備して、大きいプレス機を借りに行くだけで制作できるので、自分のライフスタイルには合っている」と語っています。また、「リトグラフは水と油の反発を利用した版なので、水彩油性の場所が侵食されると版が成り立たない。ウォータレスリトグラフは安定した版をつくれば長年保存できる。」とも述べています。 ワークショップのハイライト ワークショップの中でも特に印象的だったのは、渡辺さんが実際にデモンストレーションを行いながら、参加者一人ひとりに丁寧に技法や工夫を説明していた場面です。渡辺さんの手元を間近で見ることで、細かな技術や工夫を学ぶことができ、参加者は大いに刺激を受けていました。

展覧会情報
期間: 2023年9月2日(土)〜9月30日(土)
時間: 10:00-17:00(入館は16:30まで)
会場: 沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)
休館日: 9月4日(月)、9月11日(月)、9月19日(火)、9月25日(月)
企画・主催: 沼津市庄司美術館(モンミュゼ沼津)
作家情報
渡辺美津代さんは、数々の受賞歴を持つ版画家であり、国画会会員、沼津美術協会会員、静岡県版画協会理事としても活躍されています。彼女の作品は、技術と感性が融合した独自の世界観を持ち、多くのファンを魅了しています。

lesami